合コンの社会学 北村文 阿部真大 光文社新書

Publié le par Connaissances LIVRESQUE

政治のお堅いネタから、激しくゆるいネタ、行きます。

【著者】

北村文:1976年生まれ。東京大学大学院・ハワイ大学大学院を経て、明治学院大学非常勤講師。専門はジェンダー論、相互行為論、アイデンティティ論。

阿部真大:1976年生まれ。東京大学大学院を経て、学習院大学非常勤講師。専門は家族社会学、労働社会学、社会調査論。

【章立て】

第1章:出逢いはもはや突然ではない-合コン社会学・序-
第2章:運命を演出するために-相互行為儀礼としての合コン-
第3章:運命の出逢いは訪れない-合コンの矛盾-
第4章:運命の相手を射止めるために-女の戦術、男の戦略-
第5章:運命の出逢いを弄ぶ-自己目的化する遊び-
第6章:それでも運命は訪れる-合コン時代の恋愛と結婚-
第7章:偶然でなくても、突然でなくても-合コンの社会学・結び-

【内容と寸評】

何より面白いのが、この超俗っぽいネタをお堅い論文風に書いているところ。
・・・いやいや、筆者は真面目である。勘違いはいけない。

この本は決して合コン指南の本ではない。
合コンというものが社会の中でどういう役割を果たしているのか、そして期待されている役割とその現実のギャップについてを論じている、立派な学術書である。

合コンに期待される要素は1つだけ。

偶然と言う名の突然の出逢いの「ストーリー」である。

かつては職場結婚が日本の「マッチングシステム」であった。しかし終身雇用が崩壊し、趣味にも時間を割くようになった現代の男女はかつてよりもむしろ行動範囲も交友範囲も広がったと言える。そして、そこから友縁結婚がその代替として登場してきた。その友縁を最大限に活用したのが「合コン」である。

と筆者は述べる。

しかし、そこには矛盾が存在する。

合コンにおけるジレンマである。

「ルールに則った行動が求められつつも、一人抜け出しアピールするしなければならない。」

多くの指南書が述べるとおり、合コンのルールは場の空気を乱さないためのものだ。その中で一人が抜け駆けするのは非常に難しい。このゲーム性に魅入られた人たちは本来の「出逢い」ではなく、合コンそのものが目的になってしまう、という習性が見られる。物語のような出逢いを果たし、合コンを「抜けた」先人たちを夢見て。

大略は以上である。

なぜ、人々が偶然性という「ストーリー」を求めるようになったのかの説明を求めたいが、基本的に、出逢いにおける社会的階層の拘束など、合コンから社会の動きを考察する発想は大変面白いし、話のネタになる。ただし、大学生の合コンというよりも、結婚をかなり視野に入れたもう少し年齢層が上の人々の合コンを扱っていることに注意したい。

合コンに行ったことがある人は、「ああ、確かに・・・」と思うところもある。
合コンに行ったことがない人は、行った気になってみると良い。

ちなみに私は後者だ(笑

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